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都会のスタンダード、田舎のスタンダード

 2013.05.07 Tuesday 
NHKの朝ドラを見ていたら、ローカル線が看板になって、地方の町に大勢の観光客がやってくるシーンがありました。

予期せぬ数の観光客が小さな町に突然やってくる。

そうしたら、その観光客を見た地元商店街の人たちは、歓迎するどころか、何と、お店のシャッターを閉めてしまいました。

宮藤官九郎さんが書く脚本は本当に面白い。
だけど、単に面白いだけじゃなくて、世の中のことや人間のことをよく見ていて、本当にあることをうまく書かれているから、私のような、田舎でそういう状況を目の当たりにしている人間が見ても面白いわけです。

その面白さの本質、それは、都会と田舎のスタンダードの違いにあると思います。
物事の価値観や考え方が、都会と田舎では根本から違っているから、そのギャップが見る人に興味を与えるのです。

田舎にやってくる観光客というのは都会の人です。
ローカル線のような場所は、ふだん都会で忙しく働いている人たちが、のんびり感を求めにやってくるところです。
そして、そのお客様をお迎えするお店や店員さんは田舎の人です。
だから、そこに価値観のギャップが存在するのは当然のことです。

どういうギャップかというと、「お客様に対する認識の違い。」です。

都会では、「お客様はありがたいもので、お客様にいらしていただくから、私たちの商売が成り立っているのです。」
ということをいろいろな方法で表現しています。

「数ある航空会社の中から○○航空をお選びいただきましてありがとうございます。」なんてセリフを、ジェット機の機長さんが飛行中に言ったりしている。

これに対して、田舎では、基本的には閉鎖された社会ですから、顔見知りのお客様が顔見知りのお店で商品を買う、というようなことを長年やってきています。
だから、見知らぬ人が自分のお店に入ってきたりすると、「あなたは誰ですか?」「何か御用ですか?」となる。
でも、相手はお客様ですから、「あなたは誰ですか?、何か御用ですか?」じゃなくて「いらっしゃいませ。」でしょう。
というのが都会と田舎のギャップです。

では、なぜ東京のスタンダードというものが出来上がってきたのでしょうか。

私が考えるに、それは不況の中の競争原理だと思います。

日本はバブル崩壊以降20年以上にわたって不景気な時代が続いてきました。
そういう中で、東京で商売をやっている人たちは少ないパイを自分の方に引き寄せなければならない。
だから、あの手この手でお客様にいらしていただくことが必要なわけです。

ハンバーガーショップやスタンドコーヒーのように、価格や味や量、そしてサービスで勝負していかなければならないというのが都会でのスタンダード。
なぜなら、競争相手がいて、家賃が高くて、人件費もかかるわけですから、そういった環境の中で商売を続けていくためには、朝から晩まで営業して、お客様のニーズにこたえるような商売をしていかなければ生き残れないからです。

昔を思い出してみればすぐにわかることですが、昔は都会でもあまり愛想が良い店はありませんでした。
私は子供の頃、酒屋さんに買い物に行くと、その店の爺さんからよくおつり銭をごまかされた。
パン屋さんでは、子どもだと思って古いパンを渡されたり、何てことはしょっちゅうだったし、駅の改札口で「ありがとうございました。」と言われることなど絶対になかった。

それが、今のようになったのは、国鉄が民営化されたり、バブル後の不景気が続いたりしたことが原因なわけで、経済成長が順調に続いていれば、決して今のような消費者本位のサービスは誕生しなかったと思うのです。

これに対して、田舎では時が停まったようになっている。
いすみ鉄道沿線もそうですが、今でも昭和が残っているような地域は、外観だけでなく、中身も含めて今でもまだ昭和なわけです。

都会と違うのは、田舎で商売をやっている人たちは家賃がない、人件費もかかっていないお店がほとんどで、お客さんだって住宅ローンや教育ローン、自動車ローンを抱えている人がいないから、ギクシャクしていない。
あえて悪い言い方をすれば、何の緊張感もなく、毎日適当に生きて、時間が過ぎていくのが田舎というところです。

そこへ、平成の大都会から観光客がいきなりやってくるのですから、違和感があるのは当然で、「昭和の旅が楽しめる。」ということは、そういう違和感を味わうのも一つだということを考えないと、
「スイカ、パスモが使えない。」とか、「バリアフリーになっていない。」とか言うことをクレームするようになるのです。

どちらが良いかはわかりませんよ。

それは、最近良く言われるグローバルスタンダードと同じで、それに従事して日夜懸命に努力している人たちが、追求していく先に「幸せ」があるかどうかはわからないのと同じですから。

でも、都会のようにあまりにもお客様本位のスタンダードになっていると、働く人たちは心の病にかかりかねない。
ところが、田舎では、お客様に対して「あなた誰?」という人がたくさんいますが、あまり心の病というような話は聞きません。

一つだけ言えることは、田舎を旅して、「あれ、おかしいんじゃないの?」と思った時には、いま一度立ち止まって、自分の生活やスタンダードを考えて見る必要がある。
それが、非日常、脱日常の旅なのではないでしょうか。

私などは、都会に行って馬鹿丁寧だけど通り一遍のあいさつをされると、やたらにムカつくことがあるわけで、そういう時は、いま一度自分を振り返ってみることにしています。

例えばこんな具合にね。

詳細は 3月21日のブログを ご参照ください。

ローカル線を旅するということは、昭和を旅すること。
だから、平成の大都会から昭和の田舎にやってくるということは、列車本数の少なさや外観の昭和ばかりでなく、そこにいる人間も昭和を引きずっているのだということも「楽しんじゃう」ぐらいでないと、腹が立つばかりの旅になるのではないでしょうかねえ。

そして、相手に対して腹を立てたり、会社としてきちんと釈明しろなんて言うことは、平成の都会に住んでいる日本人特有のことで、田舎ではいちいちそんなことに目くじらを立てたりする人はいないのです。

田舎の人間は田舎の人間で、都会から学ばなくてはならないことが山ほどありますが、都会の人たちも田舎に来て、学んだ方が良いこともたくさんあると思うのです。

都会育ちの田舎人間である私は、国際肌のローカル線社長。

常にバイリンガルで物事を考えるようにしているのです。


みんなでしあわせになるまつり in 夷隅で賑わう街の駅「いってんべえ国吉」

ふだんは金土日の3日間だけの、10時から16時までの営業。
月曜日から木曜日までは閉まっている。
その理由は、「誰も来ないのに店番が面倒だから。」
先日16時02分に前を通ったらシャッターが閉まってました。
閉店が16時だとしても、2分後にシャッターが閉まっている。
都会ではありえないことです。
この町の人たちにも課題はたくさんありますが、だからといって目くじらを立てるほどのことでもないと私は考えます。
田舎のような経済圏では、結局、来る人は来るし、来ない人はどんなにお店ががんばっても来ないですから。

田舎の印象は決して都会のスタンダードでは測れないものなのです。
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