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哀愁の田園都市線

 2017.11.15 Wednesday 

先週も書きましたが、板橋は田舎だと馬鹿にされて育った私にとって、田園都市線はあこがれの路線でした。

 

田園都市って、結局は田舎ですよって自分から言っているようなものですが、これは東急がやるからおしゃれに聞こえるのであって、TBがやったら「アーパー」になってしまう。これがブランド化の上手下手なのだと思いますが、今から35年以上前、所帯を持って下町の代表ともいえる葛飾柴又帝釈天の近くのアパートで、女房子供抱えて生活に追われていた私にとっては、当時流行っていた「金妻」というテレビ番組で、田園都市線が出てくると、同じ人間の住むところとは思えないほど、なんだか知らないけれど輝いて見えたわけで、つまり、東急の田園都市線とか、あるいは東横線とかは、そういう目で見えていたのであります。

 

そのころ、何かのテレビ番組の企画で、東京からみて田園都市線のたまプラーザと同じ距離、時間にある京成電車のユーカリが丘を比較した番組があって、都心まで同じ距離、時間にあるのに、たまプラーザは不動産価格が大変高い。では、本当にたまプラーザの方が住みやすいのかと言えば、実はそうではなくて、子育て環境や不動産価値だけでなく、魚や野菜なども千葉県ユーカリが丘の方が新鮮で安い。同じ住宅ローンを払うなら広い家に住めるし、絶対的にユーカリが丘の方が有利だし、価値があるという結論に達しました。

その結論を持って、道行く人々に「どちらに住みたいですか?」とインタビューして歩くと、ほとんどの皆様が田園都市線のたまプラーザに住みたいと答えられていました。

これが田園都市線ブラントだったんですね。

 

私は、当時は東京の田舎と言われて馬鹿にされていた板橋の育ちですから、あこがれとは別に「現実」ということも重要な意思決定要因でありますので、ちょうど成田空港での仕事に変わったこともあって、ユーカリが丘の千葉県佐倉市に引っ越してきたのでありますが、京成電車は年を追うごとにどんどんあか抜けて行き、今ではすっかり都会の雰囲気の電車になりましたし、通勤ライナーまで走らせてくれているし、当時見たテレビ番組でやっていたように、住環境も良いし、犯罪も少なく子育ても満足できる地域だし、肉や魚や野菜も安くておいしいという、実に快適なアーバン&カントリーライフを満喫させていただいているのでありますが、昨今の田園都市線のニュースを見ると、35年とか40年とかが経過すると、本当に時代が変わるんだということを実感するのです。

 

当時、40ぐらいで田園都市線に不動産を購入して移り住んだ方々はすでに70を超えているわけです。

田園都市線沿線の不動産価格はとても高額だったのは私も存じ上げておりますが、そういう不動産を購入できたということは当時それなりの企業にお勤めされていらしたエリートの方々だと思いますし、背伸びして買われた方々は、その後の子育てや教育費などで大変なご苦労をされてきたと思います。30年以上が経過して、その第一世代の方々はすでにリタイヤされて、田園都市線で通勤されることもなくなったと思いますが、その方々が苦労して育てられた第2世代の御子息たちが、今、田園都市線で通勤されている。

ところがその田園都市線は最近やたらとトラブルがあって、つまり、「おやじとおふくろが憧れて買った田園都市線沿線なんて、ちっとも快適なエリアではない。」ということになっているのです。

 

実は、通勤電車が時間通りに動かないなどということは、田園都市線ばかりでなく、東京近郊では日常茶飯事のことでありますし、老朽化によるトラブルだって、別に東急が手を抜いているからではなくて、どこの鉄道だって老朽化しているのです。

だけど、それが田園都市線に集中しているようなイメージがあって、報道も田園都市線をやたらに強調しているように感じる。

 

それはなぜか?

 

やはり、皆さんが憧れている路線であって、そういうイメージがあるから、何かにつけてやり玉に挙げられるのではないでしょうか?

 

30数年前、たけしや鶴太郎が、「今どき4両の京成電車」とバカにしていた京成電車ですが、そんなことを言ったら池上線や目蒲線は3両でしたし、電車ももっとボロかったけど、それは東急だと許せるけど、京成だと許せない的なイメージ先行型だったと思うのでありますが、それが、今になってトラブル続出となると、京成ならしょうがないけど、東急は許せないとなるのでしょう。それと、人間には妬み嫉みがありますから、田園都市線への憧れ、自分たちの手に届かなかった田園都市線が今トラブル続きだということは、ニュースとして大衆の真理を納得させるのかもしれません。

 

なぜ、私がこんなところに気づくのかと言えば、それはすなわち私自身が板橋の田舎で育って、あこがれよりも現実を優先させて京成電車のユーカリが丘に家を買いましたから、やっぱり心のどこかで田園都市線に妬み嫉みを持っているからでしょう。所帯を持った当時、逆立ちしたって買うことができなかった地域ですからね。

今の人たちはあまり気にしなくなったと思いますが、私の世代は鉄道路線や地域に対するイメージというのが、とても大きな意思決定要因だったのです。

 

でも、そのイメージというのは必ずしも実態に即したものではないというのも30数年を経過して明らかになった事実ですから、可哀そうなのはその子孫の方々で、田園都市線というのはイメージが先行する割には大したことのない路線だということをよく知っている。イメージが良いとか、ブランド路線だとかいうことは、あくまでもおやじとおふくろの世代の話であって、自分たちはそんなことは全く思っていないわけですからね。

そうして、その電車が今日もまたトラブルで満足に走らない。

 

何度も言うけど、満足に走らないのは何も田園都市線だけじゃないのですが、大々的に報道される。

 

つまり、沿線の現役世代にとっては、田園都市線ブランドはすでに都市伝説化しているのであります。

 

かくいう私も、息子を田園都市線沿線の学校に入れて、田園都市線沿線に下宿させたのでありますが、とうの息子は社会人になるとさっさと田園都市線沿線を引き払って、今では東武東上線沿線の埼玉県に住んでいるわけで、彼に言わせると、田園都市線に比べて、東上線は実に快適な路線なのであります。

 

不思議ですよね。

 

田園都市線沿線よりも東上線が良いという心境。

バブル世代のおじさんとしては、そういうところが理解に苦しむのでありますが、だとしたら、時代が完全に変わったということなのだと思います。

 

誤解しないでいただきたいのは、我が愛しの京成電車も、ふるさとの東上線も、トラブルが多いわけでもなく、それぞれ通勤ライナーを走らせて座って帰れる環境を整えてくれていますから、本当に交通機関としては快適なのでありますが、あくまでも昭和の末期の「金妻時代」のブランド化の話で、そのブランドが時代が変わってすでに神通力を失っているにもかかわらず、世の中は今でもイメージに支配されているという傾向があるということでありますから、実は快適な路線や地域で、ただ単にブランドイメージで立ち遅れていた京成電車の沿線にあえて居を移した私としては、実によい人生を送らせていただいたことに感謝をしているのであります。

 

さて、こういう鉄道路線のトラブルのニュースを耳にするにつけ、現場出身の私としては、鉄道の現場で働く職員の皆様方のことが真っ先に頭に浮かぶのでありまして、最近では契約会社の警備員の方々がカスタマーフロントに立っているのかもしれませんが、そういう方々を合わせまして、お客様の矢面に立たされながらも、きびきびとお仕事をされている鉄道の現場の皆様方の勤務に対する熱意に敬意を表したいと考えるのであります。

 

皆様、本日もお仕事お疲れさまでございました。

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