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大切なことは

 2018.05.27 Sunday 

ビジネスにはきちんとしたポリシーや理念というものが必要です。

 

特に、いすみ鉄道のような公的な使命を持った会社というのは、儲かれば何だってよいというものではありません。

何のためにそのビジネスをやっているのか、ということがはっきりと明確でなければなりません。

 

昔は、「地域の足」であり、「人の輸送、物資の輸送」が使命でしたから、走っているだけで自動的にその使命を果たすことができましたが、今は時代が変わりましたので、新しい需要を見つけてお客様になっていただく必要がありますし、そのためにはきちんとしたポリシーや理念というものが必要になります。

 

いすみ鉄道の場合は、「地域のために、地域とともに、地域に役立ついすみ鉄道」というのが大きなスローガンであり理念です。

なぜなら、いすみ鉄道は本当だったら国鉄がJRになった30年前に廃止になっていたはずでしたが、それを地元の人たちが一生懸命守ってきた鉄道だからです。

国鉄というのはつまりは国ですから、国が「お前たちの地域には鉄道なんかいらない。バスで十分だ。」と宣言したんです。その時に、いすみ鉄道沿線の人たちは、「冗談じゃない、国がやらないんだったら俺たちがやるんだ。」と言って、ひとことで申し上げれば「国の意に反して」鉄道を残したところです。

国の意に反したわけですから、当然国は欠損補助などしてくれませんから、地域の財政が長年赤字補てんまでしてきた。そこまでして鉄道を守ってきてくれた地域に対して、今、その鉄道が恩返しをするのが、まずやらなければならないことだろうと私は考えて、地域のために、地域とともに、地域に役立ついすみ鉄道を目指してきたのです。

 

なかなか黒字にはなりませんが、今、いすみ鉄道沿線地域の人たちは、「そのぐらいの赤字だったら大丈夫だ。安全に走ってくれていればよい。」と言っていただけるようになりました。企業の経営者としては???ですけれど、本来のインフラとしての使命は果たしているのではと思っています。

インフラとしての使命。それは、きちんと機能することで地域をどう利するかということで、今、いすみ鉄道は、会社そのものは儲かってはいませんが、いすみ鉄道がきちんと走ることで、沿線地域が全国区になり、経済が潤うような仕組みが機能し始めましたので、これが一つのコンクルージョンであると私は判断しました。あとはきちんと走り続けて、地元の人たちがきちんとやっていきさえすれば地域が発展するわけで、これは今までとはやり方は違いますが、ローカル線というものが地域にとって利益を与える存在であると証明したという点では、画期的だったのではないかと私は考えています。

 

さて、これが大きな意味でのいすみ鉄道のポリシーであり理念でありますが、では、そういういすみ鉄道としては、どういう商品を提供したらよいのか。そう考えたときに、実は一つ一つの商品にもきちんとしたポリシーや理念が必要なのだと私は考えます。

 

例えば、レストラン列車ですが、いすみ鉄道の商品では一番単価が高い商品です。

富裕層向けだとか、いろいろ言う人がいらっしゃいますが、いすみ鉄道のレストラン列車の最大の目的は「地域の広告塔」なのです。

千葉県は素晴らしいところで、おいしいものがたくさんあります。でも、宣伝が下手なんです。

いすみ鉄道の始発駅、いすみ市の大原はイセエビの漁獲高が日本で1〜2を争う素晴らしい漁港です。

だけど、宣伝が下手だったのでそんなことは誰も知らない。

でも、いすみ鉄道で「イセエビ特急」を運転して、「特急とは特に急がない列車」などと言うだけで全国区になるんです。だから5〜6年で「千葉県はイセエビだ」と言われるぐらいになりました。そういう時に、いすみ鉄道ができるだけお金儲けをしようと、お料理の原価率を下げて、料理の質を下げたらどうなるでしょうか。

「千葉県はイセエビだと聞いて乗りに来たけど、な〜んだ、大したことないな。」

「千葉県なんて、みすぼらしいな。」

という印象を与えてしまうでしょう。

だから、たっぷりと上質なものをお召し上がりいただく。

これが商売だと私は思います。

 

本日のレストラン列車。

女優の村井美樹さんが乗りに来てくれました。

村井さんは何度もいすみ鉄道に来てくれているいすみ鉄道ファンのお一人です。

今日はご主人様とご一緒に、まったくのプライベートでのご訪問でした。

 

テレビの撮影ではなくて、女優さんがまったくのプライベートでいらしていただけるような、いすみ鉄道はそういうところなのです。

 

 

 

そのレストラン列車ですが、私は観光列車というのは時刻表に載っている列車で、誰でも乗れる列車であるべきだと考えています。

大きな鉄道会社は特別列車を仕立てて時刻表にも出ていないので、マニアの人たち以外ではなかなか見ることはできませんが、いすみ鉄道のレストラン列車は、時刻表に載っていて、隣の1両は自由席車両ですから、誰でも乗ることができます。

ではなぜ、時刻表に載っていて隣の車両は誰でも乗れるようにするかというと、こうやって駅で列車を待っている人たちは、食堂車でおいしそうなご飯を食べている人を見たらどう思うでしょうか。

「いいなあ、乗りたいなあ。」と思うでしょう。

これが、憧れになるんです。でも、決して手が届かないところにある憧れではない。だから、

「よし、今度、ぜひ乗ってみよう。」って思う。

つまり、憧れが希望になり目標になるんです。

 

では、レストランでお食事をされているお客様はどうかというと、羨望のまなざしを感じる。

「いいなあ、おいしそうだなあ。」と外の人が見ているってことは、ちょっと「優越感」でしょう。

だけど、そんなに嫌味な優越感じゃない。

これが非日常感なのではないでしょうか。

 

こういう、乗っている人も見ている人も楽しめるのが観光列車であり、グルメ列車だと私は考えます。

 

なぜなら、子供のころ、特急列車やブルートレインの食堂車を「いいなあ」と思って、「いつか乗ってやるぞ」と思ってきたのが私だからです。

 

こういうのがコンセプトであり、理念なんですね。

 

こちらは応援団のカケス団長。

今日も「い鉄君」をかぶって国吉駅で駅弁の立ち売り。

子供たちがたくさん集まってきます。

 

ママに買ってもらったね。

良かったねえ。

 

カケス団長がなぜこんなことをやっているか。

それは自分が子どもの頃、お母さんに連れられて東京の親戚に家に行くときに、大網の駅でお弁当やアイスクリームを買ってもらった思い出があるからです。

当時の大網駅はスイッチバックでしたから、必ず4〜5分列車が停まります。

いつも立ち売りのお弁当屋さんがいて、窓を開けてお弁当を買ってもらった思い出がある。

だから、彼は鉄道マニアでもなんでもないけど、子供たちの思い出になるように、こうして一生懸命お弁当を売っているんです。

 

これが団長のポリシーであり商売の理念なんですね。

 

 

今日は神奈川県の桐蔭学園の鉄道研究会の皆さんが団体で乗りに来てくれました。

貸切で1往復、実に楽しそうでした。

 

これだって思い出になりますよね。

 

都会の子供たちに田舎の思い出を作ってもらう。

これもいすみ鉄道の大切な仕事です。

 

なぜなら、彼らはこれから50年も60年も、あるいはそれ以上生きていくんです。

ということは、ローカル線や田舎の思い出が、次の世代につながるのです。

 

こういうことが新しい時代のローカル線だと私は考えています。

そうすれば、ローカル線だけではなくて、田舎そのものがこの国の負の資産ではなくて、財産として次の時代に続いていくからです。

 

これが、私がいすみ鉄道で展開してきたビジネスの基本理念であり、ポリシーなのであります。

そして、ありがたいことにカケス団長もまったく同じ考えなんです。

 

そろそろ、私の時間も残り少なくなってきましたので、9年間の総括をしなければなりませんね。

ぼちぼち、気持ちの整理を付けてきている今日この頃でございます。

 

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