まず、自分でできることを提案する。企画する。

 2012.11.17 Saturday 
町おこしや地域活性化の話になると、いろいろなところから、いろいろな人たちが、「こうすればよい。」「こういうのはどうか。」という意見を言うようです。

ローカル線の存続問題も同じで、私が就任してしばらくの間、いろいろな人たちが、「こういうやり方が良い。」とか、「こうするべきだ。」など、電話やメール、郵便などで、ご指導というかご指示というか、とにかくいろいろな人がいろいろ言ってきました。

どのプランも、それぞれの人たちが思いを込めて企画しているのだと思いますが、空論のような内容ばかりで、実現性に乏しいものばかりでした。
一例をあげると、
・小湊鉄道と直通運転をして、JR千葉から大原までの列車を走らせればたくさんの人が乗る
とか、
・電化して列車本数を増やすべきだ
とか、
・マイカー禁止にして、鉄道に乗せる努力をしろ
とかで、私としては、そういう机上の空論のようなお話にいちいち耳を傾けてお返事をしている暇などないわけです。
ところが、中には、「どうして俺の言うとおりにやらないのか。」と電話をかけてきて怒鳴り込んでくる人もいて、私が「あなたはいすみ鉄道に乗りに来たことがありますか?」と聞くと、「俺は乗らなくったって解るんだ!」とブチ切れる爺さんもいる始末。
実現性のないものは一切無視して、返事も書かないでいたら、半年ぐらいで誰も何も言ってこなくなりました。

いすみ鉄道の沿線の人たちもそうです。

就任当時、みんな、私の顔を見るたびにSLを走らせてくれ! と異口同音におっしゃるのです。

地元の人たちの気持ちはよくわかりますし、私も蒸気機関車世代ですから走らせたいのは山々ですが、ビジネスプランとしてSLはどうかというと疑問符が付きます。
いすみ鉄道の線路容量から言うと、SL走らせたとして、タンク機関車に客車は2両がいいとこです。客車を4〜5両連結できれば機関車に引かせても元は取れますが、そのためには各駅のホーム延長や終端駅での機回し設備(機関車を反対側へ付け替えるための線路設備)も必要になるので大規模な構内の改良工事も必要です。
でも、そんな話をいちいち説明しても理解してもらえないので、一言で答えるようにしました。

「蒸気機関車はいいですね。私も賛成です。あとはお金の問題です。5億円ご用意いただければ走らせましょう。」

蒸気機関車の整備に2億円、客車に1億、線路設備の修繕に2億と、こんな数字ですが、こう言うと、皆様方はシーンとなるのです。

つまり、何が言いたいのかというと、プランや提案をするのであれば、自分がやるという前提で提案しなければ、所詮空論に終わってしまうということです。

誰だって、SLを走らせたいし、小湊鉄道と直通運転ができれば、そりゃあ新しいビジネス展開も可能です。
でも、それをやるためには当然原資が必要だし、投資をするからには、回収しなければなりませんから、投資金額に見合ったビジネスプランがなければ、できないし、やるべきでないということは明白なのです。

いすみ鉄道はお金がないのですが、やらなければいけないことはやらなければいけないので、自分として何ができるかを考えました。
その一つが1〜2両で運転できる昭和のディーゼルカーの導入であり、テレビ局に積極的に働きかけて、いすみ鉄道が今のようにテレビやマスコミにたくさん取り上げていただけるようになったのです。

大河ドラマの誘致も大切な動きだと思いますが、結果が出るまでに何年もかかります。
それよりも、とりあえず、何をやれば取り上げてもらえるか、相手がほしい部分を提供してあげることで、TVや雑誌がたくさん来てくれる。そうすれば、スタッフの方々と顔見知りになり、つながりができて、やがて自分がやりたいと思っていることもできるようになる。

これが私のやり方です。

私は、自分で実行するという前提で実現可能な企画をしているというだけのことなのです。

いろいろな会議で、町を活性化させるためにああしよう、こうしようという意見が出るたびに、「それは良いプランだと思いますが、ご自分でおやりになるのですか?」と質問すると、「いや、私は忙しいから、私のプランを誰かやってくれないか。」という意見を言う人がいますが、そういう人は、そもそも会議に出るべき人ではないのかもしれないし、もっと言えば、そういう活性化プランなんていうのは、地元の人だけで会議を開いて決められることではないんじゃないかと思うわけです。

日本全国共通の問題として、地方の町が廃れてしまっています。

なぜ廃れてしまったのかは、その町その町でいろいろ理由はあると思いますが、一つだけ確実に言えることは、「この町がこんなに廃れてしまったのは、この町にずっと住んできた人たちが廃れさせてしまったのです。」ということ。

だから、そういう人たちが何人集まって会議を開いたところで、活性化などするわけはないのです。
自分たちで活性化できるぐらいならば、もうすでに活性化しているはずで、現状のようになってはいないはずですから。

これが、田舎が抱える根本的な問題で、すべてはここを理解するところからスタートするのです。

少し手厳しい言い方かもしれませんが、田舎町の活性化は隣の市町村を含めて、全国の田舎町が競争相手なのですから、なまじっかのことでは太刀打ちできないということだけは、基本事項として押さえておくべきだということです。

もっともっと勉強しなければなりませんね。

それも教科書に書いてあることを勉強するのではなく、手探りの勉強を求められているのですから一筋縄ではいかないのです。

私は、今日はこれから鳥取県の米子へ飛びます。

大事なことは、自分の足で歩いて自分の目で見て判断すること。

これが私の基本ポリシーです。
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