上田電鉄 今昔

 2015.01.24 Saturday 
昨日のブログでご紹介したのは長野県の上田電鉄の別所線です。

新幹線としなの鉄道に接続する上田駅から出ている上田電鉄別所線ですが、かつては上田交通として別所線の他に丸子線、真田傍陽線を含めた3路線がありましたが、昭和40年代に2路線が廃止されました。その後、幾多の変遷を経ながら、国や地元の支援もあって、何とか今日まで存続しているローカル線です。

いすみ鉄道のような旧国鉄の第3セクターと異なり、地域密着型の私鉄として、大正時代から地元の人たちに親しまれている全長11.6kmの路線です。

今の日本で、わずか10kmあまりの地方鉄道がこのように存続しているというのは、並大抵のことではないということは容易に想像できますが、この会社は別所温泉という観光地を擁しながらも、基本的には地域住民の足としてしっかり地域に根を下ろした経営をしているようで、国鉄の信越本線(今のしなの鉄道)がこの付近でだいたい2〜4km毎に駅があるのに対し、上田電鉄は700〜800mごとに駅があって小まめに列車が停車してお客様を乗せていきます。
私が乗った列車も、約40分間隔で運転される平日の日中時間帯で、30名ほどの乗車がありましたので、確かに地元の足となってるなあという実感を持ちました。

もっとも、上田市の人口は15万人以上ですから、1万人を割り込んだ大多喜町とは商売のベースとしては比べ物になりません。
では、1万人を割り込んだら鉄道は不要かというと、車に移行できる人は皆車へ移行した現在でも鉄道の乗客として残っている人というのは、車へ移行することができない人ですから、鉄道の重要性は増していると考えられるわけで、じゃあどうするかということを考えた場合、観光鉄道として土休日にいらしていただいた観光のお客様からの収入で平日の地域輸送を賄っていくということが、構造改革や大きな資本を投入する気がない地域行政に対して提案できる精一杯のことなのです。
そして、そういう観光鉄道としての活動をやらない限りは、お城や城下町という既存の観光資源では先が見えているわけですから、近い将来には町そのものが消えてなくなるということは誰の目から見ても明らかなんですね。

ということで、上田電鉄さんが勉強になるわけですが、ここを訪ねたもう一つの目的は、実は映画のロケ地になっているからなんです。

私は今、時間を作って鉄道が出てくる日本映画をいろいろ見直しているのですが、近年、山田洋次監督のフーテンの寅さんシリーズがHDリマスター版で再登場しましたので、全48巻をもう一度最初から見ているんです。
その中の第18作目「男はつらいよ、寅次郎純情詩集」の中に、今から40年前の昭和50年当時の別所線が登場しているのです。
今回はその映画のロケ地としての別所線を訪ねてみました。


up田んぼの中をトコトコ走る別所線の電車。
down撮影したのはこの辺りでしょうか。





up寅さんを乗せた電車が終点の別所温泉駅に到着するシーンです。
リンゴ箱が積んであるのがわかります。演出かもしれませんが、当時は貨物輸送もやっていたようで、こういう小荷物類なども運んでいたのだと思います。
寅さんをのせた電車の右に引き込み線があって1両車両が停車していますが、その同じ位置に上田交通時代の名物だった丸窓電車が今でもちゃんと保存されています。



up 改札口を出る寅さん。
その改札口は今は駅舎の中になっていますが、お味噌とお醤油の看板は同じです。




up こちらは駅前風景。無銭飲食をして警察のお世話になった寅さんをさくらが迎えに来ました。駅まで送ってくれたパトカーを見送るシーンです。
駅前のお店はきれいになりましたが、売っている「厄除まんじゅう」は今も同じ。
後ろの民家のブロック塀もそのままです。



up 怒ってさっさと駅舎へ向かうさくらを追いかける寅さん。
別所温泉駅では40年前のこのシーンと同じ光景が今でも見ることができます。


up 駅の看板もこの通り。当時と同じですね。いや、40年どころじゃないかもしれません。

日本全国の田舎ではどんどん古い物を壊して新しくすることが良いことだとされてきた昭和40年代以降の日本にありながら、こういう物の価値がわかっていて、きちんと改修して手入れをして今でも使っているのですから、上田電鉄には先見の明があったということなんでしょう。
今なら誰でもそのぐらいのことはわかりますが、右肩上がりの当時の日本では誰もそんなことは気づかなかったんだと思います。
でも、山田洋次監督は気づいていたんですね。
彼の作品を見ていると随所にそういうことを感じます。

ということは、国鉄時代から古い物を追い続けている鉄道ファンの皆様方も気づいていたということだと思います。



上田では映画やテレビ、CMなどをお手伝いする「信州上田フィルムコミッション」というのがあって、ちゃんと誘致活動を行っています。
千葉県でもこのようなフィルムコミッションというのがあって、すでに実績を上げていますが、上田は地域でやっているのがすごいと思います。
何しろ、撮影というのは、各所に許可をもらうのだけでも大変なのですが、そういうことを「ワンストップ」でやってもらえるのがフィルムコミッションですから、これは確かに使えますね。

もちろん、いすみ鉄道沿線地域の撮影に関してはいすみ鉄道が窓口になっています。
いすみ鉄道はいすみ市の大原から大多喜町の上総中野まで走っていますが、「上総中川まではいすみ市で、そこから先が大多喜町。」などということは私たちは申しませんので、鉄道構内撮影はもちろん、沿線の撮影地等に関してもいすみ鉄道が窓口になって関係各所につないでおります。
もちろん事業ですからご予算はご用意いただかなければなりませんが、そういうことをやっているから、旅番組以外でも、いすみ鉄道は最近映画やテレビ、CMに度々登場しているんです。

そうそう、信州上田と聞いてピンとくるいすみ鉄道沿線住民はどれぐらいいらっしゃるでしょうか。

私は歴史は詳しくないですが、真田に嫁いだ小松姫は歴史上有名ですが、その小松姫は実は本多忠勝の娘だということはあまり有名ではないようですから、地域としてはこのへんもいろいろ材料になるんじゃないでしょうかねえ。
沿線地域の人たちは「本多忠勝イコール大多喜」と考えているようですが、実際には本多忠勝は大多喜城に入る前に、今のいすみ市にあった万木城の城主となっていたようですし、大多喜城主として君臨していた期間よりも、万木城にいた期間の方が長かったという説もあるようですから、いすみ市だって十分資源として使えると思いますよ。
まあ、それは私の仕事ではございませんが、私は、私の仕事として、ローカル線の良さを発信するために、古い日本映画をひも解いてみたいと考えているのであります。

男はつらいよの寅さんシリーズは松竹から絶賛発売中です。
1本1800円ですから、レンタルなどと言わず、ぜひご購入ください。
ライブラリーとして揃える価値はありますよ。
ちなみに私は全48巻+特別編まで全部揃えましたし、「泣いてたまるか」も全巻(こちらはVHS)揃えております。

寅さんシリーズDVDは こちら をご参照ください。
アマゾンでも買えます。




ということで昨日ご紹介しました上田が舞台の最新作「サムライフ」
間もなく公開です。
都内では新宿と渋谷の2か所だけのようですが、地域の資源をどのように表現するのかとても興味があります。
ぜひ見に行こうと思います。

ちなみに「ふしぎな岬の物語」では、いすみ鉄道は約1分間程度でしたが、上総中野と大多喜が出ていますので、こちらもまだの方は是非ご覧になってください。

自分の知っているところが映像になる。
映像になったところを訪ねてみる。

どちらも楽しい大人の遊びですね。

※本日よりロケ地訪問というカテゴリを作ってみました。
ボチボチ遊んでいきますので、皆様どうぞご期待ください。
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